2006年 12月 05日
似た者同士、の巻 |
――― ハガネ・ヒリュウ隊
戦闘部隊としては少々異質なメンツが揃う二隻の戦艦から構成される部隊。
この部隊のパイロット要員の平均年齢は、平均的な軍隊のソレに比べて低い。
そして少し前にこの艦に加入した4名の男女(内約:男1女3)の年齢も
この部隊の平均としては標準で、軍の平均と比べれば少々低い程度であった。
そして、その加入した内の一人とこの日、休憩室で睨み合っているのも
またご多分に漏れず同年代の少女であった。
「・・・統夜はああ見えて結構情熱的ですよ?」
剣呑な雰囲気が休憩室に漂う。
そこにいるのが当事者二人だけであるのは幸いだったと言うべきだろうか。
当事者の一人はカティア・グリニャール、先日加入した内の一人である。
「リョウト君だってああ見えて結構熱い所、あるわよ?」
もう一人はリオ・メイロン。
この艦の主要メンバーとしては割と古株に入る方である。
バチバチ、と両者の視線が火花を散らす。
普段なら誰かしら仲裁に入る所だが生憎今は二人きり。
ぱっと見ただの痴話喧嘩なのだが
一人の男を巡って女が争っている訳ではない。勿論逆でも無い。
何故喧嘩になったのか
と後日両者に問えば恐らく苦笑混じりに両者からこう返事が帰って来るだろう。
曰く『どっちの彼氏が一番か』と。
また、発端は極々些細な事だった筈だが、
これで結構意地っ張りなカティア、負けず嫌いのリオが当事者だったのが災いした。
「「・・・・・・・・」」
未だ両者一歩も退かず。共に想いが強い事の証なのかもしれないのだが、
恐らく今この二人の間に割って入ろうとすれば冥王だろうがトロンベだろうが、
何の略かは問答無用な武神装甲だろうがシラカワ博士の愛機だろうが一蹴である。
どちらの平手が先に飛ぶか、はたまた平手だけで済むのだろうか。
流血沙汰が起きるかもしれない、衛生兵ー!と語り手が勝手に人を呼ぼうとした所で
「・・・止めましょう。それぞれの相手が一番、それで良いじゃない。」
「・・・そうですね。すみません、張り合ったりして。」
「ううん、こっちこそ。」
意外にも事態は当事者の手によって沈静化されたのだった。
元々どちらかと言うと委員長体質な二人である。
互いの相手を貶める様な発言はしなかった為かその辺で自浄作用が働いたようだ。
お互い自身の非を認められる性格の持ち主でもあるので
割とあっさり元々の目的である休憩へと気持ちを切り替える。
「気にしないで下さい。
・・・それより、休憩にしましょう。レーツェルさんが作ったお菓子が残ってる筈ですから。」
「そうね、そうしましょ。
それと敬語は止めて欲しいな、折角友達になれそうなんだし。」
「とも・・・だち?」
ぽかん、と驚いたような表情を浮かべる。
何か変な事を言っただろうか、と怪訝に思いながらリオが続ける。
「うん、友達・・・そんなにイヤだった?」
「そ、そんな事ないです!けど、ちょっと驚いちゃったから。」
「そんな大袈裟な・・・ま、いいわ。
そこで待ってて。私から突っかかっちゃった訳だし、用意ぐらいさせて。」
でも、と言いかけるがお詫びも兼ねて、
と返されては彼女の性格的に断る事が出来なくなる。
「・・・じゃあ折角だし、お願いします。」
「だから敬語は良いってば。はい、やり直し!」
「え?え、ええ・・・うん、お願いね、リオ。」
「そうそう、それでオッケー。じゃ、任せといて、カティア。」
最初は波風が立ったかもしれないが、
結局は互いのパートナーが似ているからと言う所に端を発する訳で。
昨日の作戦がどうだった、等と話しながら手元には美味しいお菓子。
お互い、うち解けるのに差ほど時間は掛からなかった。
「・・・そっか、それでさっき友達、って言った時に驚いてたんだ。」
「ええ・・・
テニアとメルア以外に、友達、なんて考えた事も無かったし。
この艦に来るまでは、同じ位の年の子なんて他にいなかったから。」
話はお互いの身の上話に及び、カティアが自身の境遇を話した所で沈黙が降りる。
「ごめんね、嫌な事話させちゃって。」
「いいのよ、隠してたって仕方ないんだし。
それに、友達になれそう、って言って貰えて嬉しかったから。」
「そう・・・まぁ、この艦には同年代の子も多いからね。
良ければ今度、機会を見て皆に紹介するわ。」
「ええ、是非お願い。」
その時はテニアとメルアも一緒に、と付け足して一息。
カティアにしてみればこうしてテニアとメルア以外の同年代の女性と話す、
なんて事は初めてだった。
ファッションの話題 趣味の話題 噂話に恋愛話
そして、何より
「それでね、リョウト君って普段はちょっと鈍いと言うか・・・
かといって時折妙に鋭いし、こっちの考え読まれてるんじゃない?ってくらい。」
「判るな、それ・・・統夜も鋭いんだか鈍いんだか判らなくって。」
「そんな所まで似てるんだ。
鈍い方だと私が二人きりになりたくて部屋に呼ぶと、
僕じゃつまらないだろうし友達呼んだら?なんて言われた事あるよ、私。」
「それも似たような事、あるなぁ・・・私の時はテニアとメルアだったけど。」
はぁ~、と溜息混じりに交わすのはお互いのパートナーの事。
決定的な所で違いはするのだが、似たような悩み、不満。
こうも話が通じる相手というのは中々居ないだろう。
テニアとメルアに話す、というのは未だに気が引ける部分も多い訳だし。
それはリオも同様だった。
今まで周囲の友人に悩みやら不満を相談すると決まって同じ反応をされて来た。
『また惚気?』と。
自身はそんなつもりは全く無いというのに。
それが彼女はどうだろう、こんなにも話が分かる相手と言うのはそうそう居ない。
これは良い友人が出来たと、そんな気がした。
そんな調子でそれまで以上に会話が弾む。
休憩室を使っているのが未だ二人だけなのは幸いだったろう。
他人が聞けばどう考えても惚気愛宇宙です、本当にお腹一杯でしたになる事請け合いである。
自覚が無いとはタチが悪い事この上ない、の典型例かもしれない。
「けど、やっぱり統夜とヒカワさんって似てるよね。」
「そうね。性格は違うけど・・・背格好は似たような感じだし。」
「彼女が可愛くてちょっと意地っ張りな辺りもかしら?」
「そうかも。」
言ってくすくす笑い合う。
当初の空気は何処へやら、それはさながら数年来の友人同士が談笑している光景の様であった。
・・・ただ、そんな和やかな空気だったからだろうか。
「それじゃあ夜、すっごい辺りも同じなのかなぁ・・・」
「え?」
ぽろり、と。ついうっかり、とか全く意識せずに、とか。
要するにそんなカンジでトンデモナイ一言がリオの口から滑り落ちた。
「あ!・・・な、ななな何でもない!何でもないから!」
が、言ってしまった本人としてはうっかりもへちまも無いのである。
必死で夜、そう夜の寝相が!なんて顔を一気に真っ赤にして弁解し始めるが、
寝相の悪さ(真偽は兎も角として)を把握する仲である事を自爆している所にはまだ気付いていない。
尚、カティアはカティアで呆然とした顔でリオを見ていたが、
皆までいうな、良く判ると言った表情でうんうん、と頷き
「・・・・・・そっか、ヒカワさんも、なんだ。」
などと何を勘違いしたのかこれまたトンデモナイ事を言い出した。
まぁ、要するに彼女もまた似たような境遇に居る訳である、主に夜とか。
寝相を把握している仲な辺りも。
「・・・・・・もしかして、統夜君も?」
「ええ・・・」
何ともいえない空気が周囲を支配する。
お互い顔は真っ赤で、話題が話題故か顔も近い。
要するに美少女二人が顔を真っ赤にして顔を近づけている、
と言うのは見る人が見れば普通に誤解を招きそうな光景である。
しつこいようだが二人きりなのは彼女達自身にも幸いだっただろう。
独り身には聞くに堪えないし、そうでなくても一部クルー、
特に平均年齢の低いパイロット勢には少々過激な会話であった。
「・・・じゃあ、そろそろ私は機体の整備があるから。」
「ん、判った。頑張ってね、カティア。」
妙な空気から立ち直って、気付けば整備に立ち会う時間。
少々名残惜しいが、機会は幾らでもある。
「そうだ、今度はテニアとメルアも一緒にどうかな・・・?」
二人の親友の事を思い出してそう聞いてみる。
聞かれたリオはにっこり、と笑って
「friend of yours is friend of mine.
・・・貴女の友達は私の友達、よ。楽しみにしてるわ。二人に宜しくね。」
「有り難う・・・それじゃ、またね。」
笑顔で返して休憩室を後にする。
環境が変わるから不安だったけれど、意外となんとかなりそうな、そんな気がした。
こうして似たもの同士の出会いは終わる。
似ているが故に違う事、似ているが故に話せる事、これから沢山あるだろう。
「―――お待たせ、統夜。整備、始めましょうか?」
「お、来たのか。
・・・なんか機嫌良さそうだな?」
「ええ。友達、出来たから。案外すんなり馴染めるかもしれない。」
「・・・そっか、良かったな。
何かあったら言ってくれよ。出来るだけ力になるから。」
「有り難う、統夜。・・・じゃあ、始めましょうか?」
「判った、それじゃあまず―――」
けれど、散々自身の相手が似てると話した彼女達だが、
一つまだ気付いていない共通点がある。
「―――リオ、ここに居たんだ。」
「リョウト君?どうしたの?」
「どうしたのって・・・
非道いなぁ、休憩時間に用事があるから部屋に来てねって言ってたじゃないか。」
「・・・あぁっ!ご、ごめんね!
つい、話し込んじゃってすっかり忘れてた・・・」
「気にしなくて良いよ。それより結構楽しんでたんじゃないかな?」
「え、何で判るの?」
「だって、凄い機嫌良さそうだから。」
「・・・もう、リョウト君には敵わないなぁ・・・」
それは他でもない彼女達自身の事。
「「ねぇ―――」」
「統夜。」 「リョウト君。」
「どうした?」 「何?」
つまり彼女達自身が、それぞれの相手に
「「―――大好き。」」
心底惚れきっている、と言う事。
―――
かき分けられたかちょっと不安な例のお二人ネタ。
この二人は無自覚の内に惚気だして、
それはそれは友人達をその時に限ってウンザリさせそうな気がします。
またOG関係の設定は割と曖昧なので、不備があればコメント欄などでご指摘頂ければ。
戦闘部隊としては少々異質なメンツが揃う二隻の戦艦から構成される部隊。
この部隊のパイロット要員の平均年齢は、平均的な軍隊のソレに比べて低い。
そして少し前にこの艦に加入した4名の男女(内約:男1女3)の年齢も
この部隊の平均としては標準で、軍の平均と比べれば少々低い程度であった。
そして、その加入した内の一人とこの日、休憩室で睨み合っているのも
またご多分に漏れず同年代の少女であった。
「・・・統夜はああ見えて結構情熱的ですよ?」
剣呑な雰囲気が休憩室に漂う。
そこにいるのが当事者二人だけであるのは幸いだったと言うべきだろうか。
当事者の一人はカティア・グリニャール、先日加入した内の一人である。
「リョウト君だってああ見えて結構熱い所、あるわよ?」
もう一人はリオ・メイロン。
この艦の主要メンバーとしては割と古株に入る方である。
バチバチ、と両者の視線が火花を散らす。
普段なら誰かしら仲裁に入る所だが生憎今は二人きり。
ぱっと見ただの痴話喧嘩なのだが
一人の男を巡って女が争っている訳ではない。勿論逆でも無い。
何故喧嘩になったのか
と後日両者に問えば恐らく苦笑混じりに両者からこう返事が帰って来るだろう。
曰く『どっちの彼氏が一番か』と。
また、発端は極々些細な事だった筈だが、
これで結構意地っ張りなカティア、負けず嫌いのリオが当事者だったのが災いした。
「「・・・・・・・・」」
未だ両者一歩も退かず。共に想いが強い事の証なのかもしれないのだが、
恐らく今この二人の間に割って入ろうとすれば冥王だろうがトロンベだろうが、
何の略かは問答無用な武神装甲だろうがシラカワ博士の愛機だろうが一蹴である。
どちらの平手が先に飛ぶか、はたまた平手だけで済むのだろうか。
流血沙汰が起きるかもしれない、衛生兵ー!と語り手が勝手に人を呼ぼうとした所で
「・・・止めましょう。それぞれの相手が一番、それで良いじゃない。」
「・・・そうですね。すみません、張り合ったりして。」
「ううん、こっちこそ。」
意外にも事態は当事者の手によって沈静化されたのだった。
元々どちらかと言うと委員長体質な二人である。
互いの相手を貶める様な発言はしなかった為かその辺で自浄作用が働いたようだ。
お互い自身の非を認められる性格の持ち主でもあるので
割とあっさり元々の目的である休憩へと気持ちを切り替える。
「気にしないで下さい。
・・・それより、休憩にしましょう。レーツェルさんが作ったお菓子が残ってる筈ですから。」
「そうね、そうしましょ。
それと敬語は止めて欲しいな、折角友達になれそうなんだし。」
「とも・・・だち?」
ぽかん、と驚いたような表情を浮かべる。
何か変な事を言っただろうか、と怪訝に思いながらリオが続ける。
「うん、友達・・・そんなにイヤだった?」
「そ、そんな事ないです!けど、ちょっと驚いちゃったから。」
「そんな大袈裟な・・・ま、いいわ。
そこで待ってて。私から突っかかっちゃった訳だし、用意ぐらいさせて。」
でも、と言いかけるがお詫びも兼ねて、
と返されては彼女の性格的に断る事が出来なくなる。
「・・・じゃあ折角だし、お願いします。」
「だから敬語は良いってば。はい、やり直し!」
「え?え、ええ・・・うん、お願いね、リオ。」
「そうそう、それでオッケー。じゃ、任せといて、カティア。」
最初は波風が立ったかもしれないが、
結局は互いのパートナーが似ているからと言う所に端を発する訳で。
昨日の作戦がどうだった、等と話しながら手元には美味しいお菓子。
お互い、うち解けるのに差ほど時間は掛からなかった。
「・・・そっか、それでさっき友達、って言った時に驚いてたんだ。」
「ええ・・・
テニアとメルア以外に、友達、なんて考えた事も無かったし。
この艦に来るまでは、同じ位の年の子なんて他にいなかったから。」
話はお互いの身の上話に及び、カティアが自身の境遇を話した所で沈黙が降りる。
「ごめんね、嫌な事話させちゃって。」
「いいのよ、隠してたって仕方ないんだし。
それに、友達になれそう、って言って貰えて嬉しかったから。」
「そう・・・まぁ、この艦には同年代の子も多いからね。
良ければ今度、機会を見て皆に紹介するわ。」
「ええ、是非お願い。」
その時はテニアとメルアも一緒に、と付け足して一息。
カティアにしてみればこうしてテニアとメルア以外の同年代の女性と話す、
なんて事は初めてだった。
ファッションの話題 趣味の話題 噂話に恋愛話
そして、何より
「それでね、リョウト君って普段はちょっと鈍いと言うか・・・
かといって時折妙に鋭いし、こっちの考え読まれてるんじゃない?ってくらい。」
「判るな、それ・・・統夜も鋭いんだか鈍いんだか判らなくって。」
「そんな所まで似てるんだ。
鈍い方だと私が二人きりになりたくて部屋に呼ぶと、
僕じゃつまらないだろうし友達呼んだら?なんて言われた事あるよ、私。」
「それも似たような事、あるなぁ・・・私の時はテニアとメルアだったけど。」
はぁ~、と溜息混じりに交わすのはお互いのパートナーの事。
決定的な所で違いはするのだが、似たような悩み、不満。
こうも話が通じる相手というのは中々居ないだろう。
テニアとメルアに話す、というのは未だに気が引ける部分も多い訳だし。
それはリオも同様だった。
今まで周囲の友人に悩みやら不満を相談すると決まって同じ反応をされて来た。
『また惚気?』と。
自身はそんなつもりは全く無いというのに。
それが彼女はどうだろう、こんなにも話が分かる相手と言うのはそうそう居ない。
これは良い友人が出来たと、そんな気がした。
そんな調子でそれまで以上に会話が弾む。
休憩室を使っているのが未だ二人だけなのは幸いだったろう。
他人が聞けばどう考えても惚気愛宇宙です、本当にお腹一杯でしたになる事請け合いである。
自覚が無いとはタチが悪い事この上ない、の典型例かもしれない。
「けど、やっぱり統夜とヒカワさんって似てるよね。」
「そうね。性格は違うけど・・・背格好は似たような感じだし。」
「彼女が可愛くてちょっと意地っ張りな辺りもかしら?」
「そうかも。」
言ってくすくす笑い合う。
当初の空気は何処へやら、それはさながら数年来の友人同士が談笑している光景の様であった。
・・・ただ、そんな和やかな空気だったからだろうか。
「それじゃあ夜、すっごい辺りも同じなのかなぁ・・・」
「え?」
ぽろり、と。ついうっかり、とか全く意識せずに、とか。
要するにそんなカンジでトンデモナイ一言がリオの口から滑り落ちた。
「あ!・・・な、ななな何でもない!何でもないから!」
が、言ってしまった本人としてはうっかりもへちまも無いのである。
必死で夜、そう夜の寝相が!なんて顔を一気に真っ赤にして弁解し始めるが、
寝相の悪さ(真偽は兎も角として)を把握する仲である事を自爆している所にはまだ気付いていない。
尚、カティアはカティアで呆然とした顔でリオを見ていたが、
皆までいうな、良く判ると言った表情でうんうん、と頷き
「・・・・・・そっか、ヒカワさんも、なんだ。」
などと何を勘違いしたのかこれまたトンデモナイ事を言い出した。
まぁ、要するに彼女もまた似たような境遇に居る訳である、主に夜とか。
寝相を把握している仲な辺りも。
「・・・・・・もしかして、統夜君も?」
「ええ・・・」
何ともいえない空気が周囲を支配する。
お互い顔は真っ赤で、話題が話題故か顔も近い。
要するに美少女二人が顔を真っ赤にして顔を近づけている、
と言うのは見る人が見れば普通に誤解を招きそうな光景である。
しつこいようだが二人きりなのは彼女達自身にも幸いだっただろう。
独り身には聞くに堪えないし、そうでなくても一部クルー、
特に平均年齢の低いパイロット勢には少々過激な会話であった。
「・・・じゃあ、そろそろ私は機体の整備があるから。」
「ん、判った。頑張ってね、カティア。」
妙な空気から立ち直って、気付けば整備に立ち会う時間。
少々名残惜しいが、機会は幾らでもある。
「そうだ、今度はテニアとメルアも一緒にどうかな・・・?」
二人の親友の事を思い出してそう聞いてみる。
聞かれたリオはにっこり、と笑って
「friend of yours is friend of mine.
・・・貴女の友達は私の友達、よ。楽しみにしてるわ。二人に宜しくね。」
「有り難う・・・それじゃ、またね。」
笑顔で返して休憩室を後にする。
環境が変わるから不安だったけれど、意外となんとかなりそうな、そんな気がした。
こうして似たもの同士の出会いは終わる。
似ているが故に違う事、似ているが故に話せる事、これから沢山あるだろう。
「―――お待たせ、統夜。整備、始めましょうか?」
「お、来たのか。
・・・なんか機嫌良さそうだな?」
「ええ。友達、出来たから。案外すんなり馴染めるかもしれない。」
「・・・そっか、良かったな。
何かあったら言ってくれよ。出来るだけ力になるから。」
「有り難う、統夜。・・・じゃあ、始めましょうか?」
「判った、それじゃあまず―――」
けれど、散々自身の相手が似てると話した彼女達だが、
一つまだ気付いていない共通点がある。
「―――リオ、ここに居たんだ。」
「リョウト君?どうしたの?」
「どうしたのって・・・
非道いなぁ、休憩時間に用事があるから部屋に来てねって言ってたじゃないか。」
「・・・あぁっ!ご、ごめんね!
つい、話し込んじゃってすっかり忘れてた・・・」
「気にしなくて良いよ。それより結構楽しんでたんじゃないかな?」
「え、何で判るの?」
「だって、凄い機嫌良さそうだから。」
「・・・もう、リョウト君には敵わないなぁ・・・」
それは他でもない彼女達自身の事。
「「ねぇ―――」」
「統夜。」 「リョウト君。」
「どうした?」 「何?」
つまり彼女達自身が、それぞれの相手に
「「―――大好き。」」
心底惚れきっている、と言う事。
―――
かき分けられたかちょっと不安な例のお二人ネタ。
この二人は無自覚の内に惚気だして、
それはそれは友人達をその時に限ってウンザリさせそうな気がします。
またOG関係の設定は割と曖昧なので、不備があればコメント欄などでご指摘頂ければ。
by osomatusan
| 2006-12-05 21:13
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